10月 23 2007
『数学ガール』結城浩
『数学ガール』結城浩を読み終わった。
結城さんの本は技術書しか読んだことがない――この本もある意味技術書の要素が強い――のだが、この本はいわゆる「技術書」の枠から一歩踏み出して、高度な数学的知識を解説しつつ強い数学的興味を抱かせることに成功している。
難解で本を閉じさせたいのかと思しき数式の羅列で終わる数学書が多いが、 この本は簡単な導入で引き付けつつも、そこから織られていく展開でいろいろな 「宝物」の発見へと進んでいく。「オイラーの贈り物」などの数学書籍もそうだが、 ある式が最終的に別の全く関係ない式に出てきてそこが糸口になるという展開は、 良質のミステリーを読んでいるかのごとく錯覚を与えてくれる。 この本はそんな「宝物」がふんだんにちりばめられており、 そういった楽しみを得られることは間違いない。
とはいってもちゃんとした数学の本ではあるので、分からないところがあると気になる自分は何度も読み返す羽目になるのだが……。
萌え数学本、という穿った見方もできるだろう。ある意味正しい。この本には「萌え」がある。しかし、だからと言ってこの本の価値を下げるものではない。それはキャラクターに感情移入させる正しい方法の一つである。主人公が比較的うっかり者の設定なのも、そういう面で役に立っているからだろう。
他にそういう数学の本があったら純粋に知りたいところ。
というわけで、数学は難しいという人にも「テトラちゃん」の立場で何か得てほしいという著者の心使いもあり読みやすい。ただ、この目的が達成できているかはやはり難しそう。数学というだけで拒絶反応を示す人はやはり読めないだろう。
もし存在していたら高校生~大学1年頃に読みたかった本である。ちなみに、自分における高校時代にこういう知識を得た場所は、「進研ゼミ」のコラムであった。一番上のレベルの本には、毎回高校レベルを飛び出した問題が載っていて、オイラーの公式などはそこで知った記憶がある。
大学生のころは大学の教科書があまりにつまらなくて投げた覚えがあるので、そこで興味を引く本に出会わなかったのはある意味不幸だったなあ。
しっかり御自分のサイトで導入及び紹介されているのでそれも参考になる。
中学・高校で数学好きだったけどそれ以降はどうも…という人におすすめ。
